クスシキ

妙薬のように染みわたる──生と愛の複雑さ

──Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」歌詞レビュー Mrs. GREEN APPLEが描き出す楽曲の中でも、「クスシキ」はひときわ文学的な色彩と哲学的な奥行きを持つ一曲だ。 タイトルの「クスシキ(奇しき/薬識)」という言葉は多義的で、神秘と治癒、不可解さと救済を同時に想起させる。 歌詞はその名のとおり、不確かで感情に満ちた世界を、柔らかな言葉と鋭い比喩で紡いでいる。 言葉の力と“まほろば”の存在 冒頭、「摩訶不思議だ/言霊は誠か」。 主人公のつぶやきは、日本古来の“言霊信仰”を想起させる。 一方で、「偽ってる彼奴は/天に堕ちていった」と続ける皮肉混じりの言い回しには、善悪のあいまいさと、信じることの不確かさがにじむ。 そして登場する「まほろば」という言葉は、理想郷や平和な土地を意味する日本古語。 そこに「あなたが居る」だけで生の痛みを感じる、という逆説的な表現を重ねることで、「まほろば」の存在すら、単なる癒しではなく、感情の揺らぎと葛藤を象徴する場として描いている。 「愛」と「ごめんね」の距離感が照らす関係性…

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